音響Aのながめのつぶやき

主宰から誘われて、ふと作品を作る一端に関わることになりました。
コロナ禍もあり、久しぶりに舞台で演出、役者、スタッフたちが作品を形作っていく過程を関わり、面白いな、いいなと改めて感じました。


舞台での上演、撮影を終え、いざ映像となったものを見た時とても不思議な感覚になりました。


実際に僕たちが目の前で見ていた作品と同じだけど、どこか、しかし明らかにすこしちがう1つの作品に感じられました。
劣化などではなく、生で見るのとは違う面白さがありました。


僕は、音響員として参加をし、どれだけ生の舞台と同じような鑑賞体験をしてもらえる様に、特に録音面で頑張ることが今回の自分の仕事だと思っていました。
心のどこかで、生の演劇に映像が劣るのは仕方がない。演劇の映像で大切なのは、90点の生の鑑賞体験を70点ではなく、85点として出すことだという認識がありました。


しかし、今回出来上がった作品は、そこでは点数付けするべきではないのだろうと思います。
本当は、生の演劇を再現することが正しいのかも知れません。録音の面でも100%再現出来るのが理想なのかもしれません。


結局今回出来たのは、こんな駄文を含めてこの作品を見て下さる皆さんの鑑賞へのノイズを、なるべく消す事くらいかもしれません。
それでも、僕にとって今回公演のどちらの鑑賞体験もとても面白いものだと自信を持って言えます。


皆さんが作品それ自体を楽しんで頂く一助となっていますように。


是非鑑賞の際は、こおろぎが鳴き終わる前に、部屋を暗くしてヘッドホンをして見て頂けますと幸いです。